ボクがキミをスキな理由【短編集】
成宮くん、成宮くん…!!!
彼を追いかけて休み時間中の廊下を駆け抜けている間、私は自分の放った問題発言についてなんて、これっぽっちも考える余裕なんてなかった。
ただ…、誤解を解きたかった。
こんな理由で成宮くんと気まずくなって、遠慮しあって。一緒にすごしたあの時間が幻のように消え去ってしまうことがどうしても嫌だった。
彼の見えない背中を追いかけてキョロキョロしながら走っていると、屋上に向かう階段の途中でキラキラ光る茶色い髪を見つけた。
その人はひどく急いだ様子で階段を掛け上がると…扉の向こうへと消えて行った。