ボクがキミをスキな理由【短編集】


――や、やばっ!!



俺のオヤジは門限とかにはうるさくないタイプやけど…この時間に街をうろついてたら深夜徘徊で警察に捕まってしまう。




せやから急いで帰ろうと
自転車にまたがった瞬間



ふとした不安が
ココロの中を支配して
俺は動くに動けなくなってしまう。






今日、やっと会えたのに…
ここで別れたら、次は会えるんやろうか






今日、俺とアンナを繋げてくれたのは偶然という名の奇跡




奇跡はめったやたらと起こらんから“奇跡”なんや






このまま何の確証もないまま別れて大丈夫なんか?
ホンマに次に会えるんか??





心の中に沸いた小さな疑問は
考えれば考えるほど
俺の心の中で大きな渦となって
ドスンと俺にのしかかる





――よし…、オトコは度胸や。





俺は意を決すると
カバンの中から携帯を取り出して




「アンナ。」


「…ん?なぁに、レオ。」


「携帯番号と…メアド教えてや。」




崖から谷底に飛び込むキモチで
でも平然を装ってアンナに携帯を差し出すと



「……いいよ。
草食かと思ったら、意外と肉食なんだね、レオ。」



そう言って
少し見直したように笑いながら
アンナは自分の携帯を取り出した。



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