屋上の君とわたし
1.日曜日の夢

いつもと同じ夕暮れ。

毎日のように部屋の窓から外を見てため息をつく私に、春の暖かい風が頬をくすぐる。

「もう春なんだね…」

独り言が桜の花びらと共に流れていった。






0時を回ると着替えて屋上に向かう。

私の毎日の楽しみ。

さすがに雨の日は行かないけど。

曇ってる日は、少しでも空が見える日は屋上に向かう。

あの空に輝く光を見るために。

今日は満天の星空で、なんだか胸がギュっとなった。

屋上に仰向けに寝っ転がると

「世界に私だけしかいないみたい」

そう言ってフフっと笑った。

この感覚はやみつきになる。

やめられない。


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