~天に背いて~<~天に送る風~第二部>


『いやいや』


 と、クリスチーネは嘆いてみせる。


『自分が救われたいばっかりの女の涙は臭いんだよ。禍々しいの』


 毒にもなるんだぜ、と付け加え、良い味だった、ごっそさん。と言い置いて、収縮化して羽を揺らめかせた。

 王子がその様子を見て、


『おお、なんだか羽が桃色に。酔っぱらってるのか? なんだか頬まで真っ赤だぞ』

 おまけに色香が増している。胸なんかはち切れそうだ。密かにだが、王子はそう思った。


『あったー! この世に、いや地獄に奇跡は存在したぜー。なあなあ、王子。俺、色っぽいだろ。バージョンアップだ!』
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