~天に背いて~<~天に送る風~第二部>
『あ、ありがとう。王子を救ってくれて感謝する』
『ア、まあな。あんたはオマケだったよな、そういえば』
うん、うん、と頷くリッキーの頬から涙がこぼれる。はっとしてクリスチーネは大人標準サイズに戻り、ちゅっと跪(ひざまず)いて彼女のまぶたに吸い付く。
リッキーは驚いた。
『おお、もったいねー。人間の女の涙は久しぶりだぜ』
『涙がどうした。彼女は年がら年中、泣いてるが』
『本当かよ! 地獄にいる女どもは感謝の涙なんてこれっぽちも流さないんだぜ?』
驚いた拍子に涙の引っ込んだリッキーは言う。
『それは心底絶望しているからでは?』
しかし、小さ神は聞く耳を持たない。