~天に背いて~<~天に送る風~第二部>


 今の世は不完全だ。誰がどうやって王を支え、王国をうち立てたか、手近な文献は載ってはいないが、星見の魔術師リリアのことは尋ねたら父王が教えてくれた、という。


「ど……どんなことまで?」


「全部だよ。特にお母上のことはね、父王と違って少しだけカンが強いひとみたいだな」


「お恥ずかしゅうございます……」


 こんな時だが王子はあっけらかんとして笑う、わらう。


「君がなあ、オハズカシュウゴザイマス、だってさ!」


 彼女は真っ赤になって反駁を試みて、かなわない、とつぶやく。


「言ったろう、全部調べたって。お父上のこともだ。なにせ将来対面するに違いないのだから」
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