~天に背いて~<~天に送る風~第二部>
「主の城までならゆけるよ」
張り付いた笑顔の白い能面のような化け物は言った。
「まだ聞きたいことが?」
化け物が指先を円にして覗いてくる。
「ちょうど七日前に竜の魂が飛んでこなかったか」
王子はもう一枚、金貨を持って、
「本物だ」
と、化け物を喜ばせた。化け物は小さい手足をばたつかせながら、欲しがった。
「もう一度聞く。竜の魂が、やってこなかったか、というんだ」
すると化け物が急に乙女のような瞳で流し目を送ってきた。