~天に背いて~<~天に送る風~第二部>


「ん? 何でしょうかアレは」

 ひょこたり、ひょこたりと、歩んでくる者がある。

 大きな杖と小さな身体。

 短い手足に怪しくも卑屈な笑顔を浮かべている。

 唯一元気そうで、唯一手向かってくる可能性が高い。小さくとも侮れない邪気を感じる。

 二人はそろって身構えた。

 その様子を見ると、ぶんぶん、と彼は頭をそらしながら異を唱えた。そして、物慣れたようすで指先をうごめかせる。

 何かよこせというのである。

 王子は身構えるのを解いた。

 今必要なのはおびえ、震えることではなく、交渉だ。


「主の処まで案内できるか」

 手に入れた金貨をためつすがめつしながら満足そうにしている。
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