~天に背いて~<~天に送る風~第二部>

 そのときだ。

 またあの小さな叫びがした。王子は今度こそ確信を持ってアレキサンドラを見た。


「聞こえているか」


「はい」


 二人は一刻も早く城内に向かうべきだったのだ。ところがすでに通り過ぎたと思ってつい、後を振り返ってしまった。


 ズーン!


 石積みの堀の頭上からカエルの主が現れた! 大きめの、とは言ったものの、その姿はひとの子どもぐらいは丸呑みにしてしまいそうな、控えめに言って巨大な大ウシガエルだった。
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