~天に背いて~<~天に送る風~第二部>

 ヌー、ヌー、と鳴いている?

 目の上に妙な角が一本ずつ、生えている。全体的に紫のまだら色をしている。

 そして彼らは悲鳴の主を発見した。

 がばりと開いた口の中に羽虫のようなウスバカゲロウのような小さな生き物が襲われている。

 少なくとも焦って振り返って見ていたらそう思えたろう。

 彼は目が合うとやはりがばりと口を開け、舌を出し、ヌーヌーと鳴いた。『助けて』と言っていたのは頭の上の烏のような黒い鳥。

 くちばしが黄色いのがわずかに視認できる。

 共生関係、という文字が脳裏に浮かんだ。

 一見してみると目の錯覚かと思うが、カエルの口元でちらつかされている羽虫は、落ち着いてみたら舌そのもので、多分疑似餌のつもりだったのだろう。
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