~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>


『おまえら、全員助かりたかったらここまでこい!』


 まさに地の底から這い上がるように大きな振動音がし、岩だらけの肌をした塔が出現した。

 高く、もろく。

 そしてひび割れている。このような危険な場所をだれが昇ろうとするだろうか。


 だが、燃える炎に苦悶して亡者がうごめく。

 手足を必死で動かし、昇ろうとする。岩に手をかけ、ひび割れをかいくぐり、時には下の者を足で踏みつけて、下のものは上の者の足を引っ張り……
 
 そして、だれ一人としててっぺんへ自力でたどり着ける者はなかった。


『観ているぞ、おまえ達のほとんどがあきらめ、そして絶望と苦しみの対価として奇跡を得るはず。もうすぐだ。もうすぐ……』
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