~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>
第十九章 ウロボロスの罠


 彼らは海で今にも沈みそうな人々を見た。

 シャチが狙っていた。

 いくらアレキサンドラが、赤子が血の海に放り込まれて、助けに飛び込んだとしても、さすがにシャチの群れの中に飛び込む勇気はなかった。

 しかも、対岸に城の門がそびえ立っていた。人々は、今にも波にのみ込まれそうになりながら、そこへたどり着こうとしていた。


『ここを通り抜けるのは不可能だ』


 クリスチーネは言った。


「他に道はないの?」


 アレキサンドラが言った。


『だーから、言ったろ。あんたらには地獄巡りしかないって……それに俺もパワーアップしなきゃだし、っと、むにゃむにゃ』
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