~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>


 後半をぼかしてクリスチーネが寝ぼける。


『ま、狭き門から入れっていうしな』
 どこからか、いや、城壁の向こうからしゃがれた声がする。


『おまえ達の働きかけは見せてもらった。この地獄においてさえもてあましていた亡者共を、一気に昇天させてくれたおかげで、地獄の主は喜んでおる』

 楽ができるからな、とむにゃむにゃ付け加えたが、咳払いひとつ。


『だがこれ以上、天上にも地上にも転生のサイクルを回す手段がない。どうか、これ以上はいいから、そちらの狙い通り、望みを叶えて去ってもらいたい』


 傍らにだれかいるのか、ぼそぼそと奥の方で話し声が聞こえた。

 どうも、魔法の力で声を響かせているようだ。
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