勿忘草


初めて会った時、


夜闇の中、頼りない月明かりに照らされた彼女は、
消えてしまいそうなくらい弱々しくて…




いまにも散ってしまいそうなくらい儚かった。




なのに今はどこか違う。







あの時とは違い、太陽が眩しいせいだろうか?



俺の瞳に明るく、鮮明に映るシオンの姿は、初めて会った時には感じられなかった強さが見えた気がした。





連れてきてよかったな。





そう思えた。




葛城先生は人の気持ちが分かる人なのだろう。



彼にはシオンの求めているモノが分かったんだ。



シオンには彼みたいな人が必要だった。



「空木。いい医者を紹介してくれてありがとな」


シオンを見ながら、隣にいた空木にお礼を言う。


「恐縮です。」


空木は微笑みながら、浅く頭を下げた。




「…それからこの後、寄って欲しい所があるんだけど…」


ケータイで時間を確認する。

時刻は16時。


空木に場所を告げると、彼は微笑んで了承した。


「バイバーイ!」


花奈という少女は先生と手を繋いで、
空いている方の手で、シオンに手を振っている。




それにシオンは笑顔で応えた。




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