勿忘草
どんどん近付いてくる足音の方をただ見つめることしか出来ない。
しかしどんなに見つめても、雲で月が隠れているせいかその姿を捉える事は出来ない。
徐々に大きくなってくる足音に同調するように動悸もどんどん早く、激しくなっていく。
闇の中、こちらにゆっくりと近付いてくる大きな影がうっすら見えてくる。
その影が見えるとすぐに、足音が止まった。
「…っ」
もうダメだ…
怖い。
タスケテ
ニゲタイ
だけど体が動かない。
もうダメだと思ったその時、再びあの香りが香った。
そしてその香りとともに
ふわりと…
月がゆっくりと雲から顔を出す。
それと同時にその声の主も露わになった。
風が吹き荒れ
舞い散る花の中、
そこにいたのは、ひとりの男の子だった。