勿忘草
月明かりに照らされて、私の瞳に鮮明に映る彼の姿を見て、
心臓が一気に締め付けられるような感覚に陥った。
何故だか一雫の涙が、再び頬を伝った。
キャラメル色とでも言うべきだろうか?
色素が薄く、少々短めの茶色いその髪は、無造作にセットされている。
けれどそれがとっても似合っていた。
後ろ髪よりも少し長い前髪。
その間から覗く栗色の瞳は、
大きく見開かれひどく驚いている様子だ。
スッと通った鼻筋に、
意志が強そうに鋭く整った眉は、少しだけたれ目の瞳ととてもバランスがとれている。
とっても整った顔立ち。
その顔に思わず魅入ってしまう。
時が止まったみたいにしばらくお互い見つめ合った。
身動き1つせず、
穏やかになった風が2人の間を通り過ぎ、優しく木の葉を揺らす。
白銀に輝く満月が2人を明るく照らした。
「……心音(シオン)」
驚愕しながらも呟くように発した彼の言葉。
とても小さな声だったけど
木と風の音しかしないこの場所ではひどく響いたように思えた。
その声に我に帰る。
今シオンって…
私の名前を呼んだ?