勿忘草
けれど逢えない。
もう2度と。
叶うことのない願い。
だから辞めた。
彼女を…
心音を追いかけるのは辞めたんだ。
もう追いかけないと心に決めていたのに。
またあの頃の弱い自分に戻ろうとしてる。
そんな弱い自分に苛立ちを感じた。
「なんでもねぇ、邪魔したな」
素っ気なくそう告げ、その場を立ち去ろうとした。
これ以上ここにいたら…
抱き締めてしまいそうだったから。
嬉しくて泣いてしまうと思ったから。
しかし振り向き戻ろうとする
俺に、焦ったような声が聞こえた。。
「まっ待って!!」
そして何かに引っ張られた。
振り向けば、Yシャツの裾を細くて白い腕が強く握っている。
その時の彼女の顔はとても必死そうで…
何より声まで心音と同じで、
その細い腕を振り払うことは出来なかった。
「わっ私の名前!!」
「…え?」
「今私の名前呼んだでしょう?」