~天へ送る風~
ここでは花乙女としてまかりこしてきたはずなのに。
いけないのは自分。
哀れまれるのが平気だなんて、一(ひと)処(ところ)前(まえ)まではなかったはずなのに。
アレキサンドラの決意は揺らいだ。
しかし、次の瞬間、見ているだけでこちらが面はゆくなってしまうような少女の笑顔を思い出して、涙を拭いた。そしてあんな子が勇気を持ってこの国を盛り立てていってくれるのを信じ、自ら泉の水をごくりと飲んだ。
「もう……泣かないぞ」
でもその決心は、はかなく、切ないものを内包していた。
「お、王子までなんなのですか。母は『そのような』者ではありませんよ。星の巫女だなどと……大体、この国にそんなものが存在するとも考えられない」
サフィール王子は肩をすくめて嘆息した。