~天へ送る風~


「そこまでだわね」

 途方に暮れたような瞳で王がそちらを見返す。 

 アンジュ王妃の声だった。


「あなた、私の王。いつも私が一緒ですと申し上げたのを、もう、お忘れなの?」


「アンジュ、少しばかり見ない間にまた一段と美しく映えるね」


「私が美しいのは他のだれでもなく、あなたへの愛ゆえですわ」


 王子は感涙にむせんでいる。

 彼は愛する父王と母、両方を取り戻したのだった。

 アレキサンドラはふと、密やかに大蛇に語りかける。


「ところで、マグヌス殿、勢いであなたまで切ってしまったけれど、間違いだったのだろうか」
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