無気力少年少女


「どれがいいか選んどいて」

そう言ってさっき買った雑誌を渡された。
髪型のページをパラパラめくる。
久に似合いそうなのかぁ…。
あ、この髪型あたし好み。


「決まった?」

シャンプーされて前髪がオールバックになってて、オトコらしい姿に異常にドキドキした。


「あ、これとかどうかな」

「うん、じゃあこれでお願いします」

「了解ー。確かにこれかっこいいね」

久が髪を切ってもらってる横で雑誌をゆっくり眺めた。
気になってちらっと見ると久は寝てた。


「いっつも寝ちゃうんだよねー」

パーマ液を付けながら美容師さんが笑った。

「ところでいつから付き合ってんのー?」

「あ…付き合ってないです。ただのクラスメートなんで」

「あ、そうなの。てっきり付き合ってるんだとばっかり思ってた」

「よくカップルと間違えられます…」

「ふは、だって雰囲気いいもんねー」


雰囲気いい?
ただあたしも久もぼけっとしてるだけだと思うんだけどなぁ。

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