エージェント
ーーなんで、わたしには拒否権ないんだよ。
まあそろそろ新しい情報欲しいし、あっちから来てもいいって言ってるんだから、内部潜入しよっかな。
「みんなも来る?アズは?」
「俺、パス。あんな恐ろしい所行けるか」
「ラクはどうせ来るだろ」
「どうせってなんだよ!別に行かなくてもいいけど、コウキちゃんが心配だし!」
「トダトワは?」
「えー、あたし…どうしよっかな…」
「兄貴はいねぇぞ」
「なら、いいや」
「相変わらずだな」
そうか、宝さんはいないのか。
彼とはずっとあの関係が続いているから、いくら変装はバレない自信はあっても、朔羅といる時に会うのは抵抗がある。
それは朔羅に対しても、宝さんに対しても…。
あの日の朔羅は忘れられない。