エージェント




赤羽が迷路地獄に迷わせ翻弄するのに対し、本城は同じものを何個も作り目的の場所を錯乱する。


お互い侵入者を防ぐために手を尽くされている。


気になる部屋はあったけれど、あまり探ると怪しまれるので辞めておこう。



「コウキちゃん、ここだよ」



楽太郎が指差したのは、数ある部屋の一つの入り口に桜の模様が記された部屋。

朔羅=桜ということか。


朔羅は鍵で部屋を開けると中へと入っていき、その後を楽太郎、わたしと続く。


中の物はモノトーンで統一されていて、わたしの実家の部屋以上に殺風景。

「朔羅、ここに帰ってきてるの?」

って思わず言っちゃったくらいだ。



「たまに寝に帰ってくるくらいだよ」

「だろうね…」

「だって、家って寝るだけでよくない?」


否定はしない。
わたしも基本的にそんなものだ。




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