エージェント
ーーーそれは、本当なの?
わたしが父親に頼まれた仕事とは別に、もう一つこっちの街へ来たかった理由。
まさか、本城が絡んでいたとは。
「コウキちゃーん!」
「あ、うん」
駆け足で二人の後を追う。
ただ、頭が混乱している。
ついでに調べられたらいいなと思っていたことだったけど、まさかこんな所でその情報を得られるとは思わなかった。
「コウキちゃん、どうかした?」
「ううん、ちょっとホッとして…」
「流石に初めてだと緊張するもんねー」
「あはは、」
流石にそれどころではない。
とりあえず冷や汗。
父は、この事を知っているのだろうか。
「そろそろ帰るだろ」
朔羅に声かけられたのが、五時を回ったころ。
わりと長居をしていたらしい。