エージェント
流石に彼女もそれをわかったのか、踵を返し、そそくさとこの場を離れる。
「あーマジうぜぇ」
「相変わらずだね、サクのお袋さん」
「あの人、俺より断然兄貴だからな」
「昔っからそうだよね」
楽太郎は朔羅の母親のことも知っていたらしい。
「行くぞ」
歩き出した朔羅と、それについて行く楽太郎。
「さっきの見たか?」
「麗子(れいこ)様と朔羅坊ちゃんだろ?」
「相変わらず親子の仲は冷めきってるな」
「麗子様、昔っから坊ちゃんのこと目もくれないし」
「宝坊ちゃん一筋だったもんな」
「しかも大昔、麗子様、組を使って揉め事起こしただろ」
「ああ!覚えてる。確か一般人も怪我人出て、大変だったよな」
「そう、確かーーーー」
歩き出した足が止まった。