エージェント






「ーーー光希さん」

「またお前か、相変わらずだな」

「またとは言わんといてください」



西へ戻るといつも通り、セーヤのお迎え。
前回とは違い、今日のセーヤは静かだった。


こいつとしては、わたしが戻ってきて嬉しいだろうに。



「光希さん髪の毛戻さないんすか?」

「あー。どうしよう」

「俺としては前の髪がええと思いますよ」

「うーん」

「嫌なんすか…」

「いやただ、抗争の時にまた染め直すの面倒いなーとか考えてるだけ」



別に黒髪にこだわってるわけじゃないし、セーヤに言った理由はわりとその通り。

紅ってすぐ色落ちするからわりと困るんだ。


だけど今はまだ、黒髪気分を味わっておこうかな…と。


最後のケジメに。





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