エージェント
「あいつらは土地も欲しいが、赤羽に勝ったって証拠が欲しいんやろ」
ずっと聞いていた、九州から駆けつけた妹尾が答えた。
相変わらずワイルドな男だ。
「妹尾の言う通りや。あっちん組長が欲しいんは東の一番ではなく、この国の一番。西を襲うための拠点にでもしたいんやろ」
「あいつら、そないなこと考えてはるんすか!」
流石にこればかりは幹部たちの怒りが見える。
自分たちの土地、西を攻めてこようだなんて、前代未聞すぎるけれど。
「本城源って奴は組員からも慕われる奴や。でもあいつ自身はかなり私欲にまみれた男で、欲しいもんはとことん欲しい。そんな奴や」
そんな風に見えなかった。
でもそれが油断させるためのものであったとするならば、と悪い方に考えてしまう。