エージェント






本城にとっては抗争に発展させるためだけど、赤羽は妹尾奪還させればそれでいい。





「……行ってしまった」



組長やここに残る組員と一緒に、銀や宮前を見送る。
明日が長い戦いになることはわかってる。





「光希」

「はい」

「謹慎は解いてやる。だけど“組”の仕事はまだや」

「はい」

「俺には組ん事とは別に、許せん事がある」

「……はい」

「きっと、お前も同じやと思うてんけど」

「……っ、」



ーーー組長、それは…。


「これは組ん事やない。ただの私情や」

「はいっ…」



それだけで、何が言いたいのかわかってしまったのが、悔しいくらいわたしと組長が親子だと思う。



「ーーチャンスは、一度きりや」

「はいっ!!」





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