エージェント
「セーヤ、お前はどこおるん」
『組長に頼まれ、新幹線で向かってますっ…』
「いいか、見付け出せ。そして一刻も早く、この街から出させろ」
『はいっ…』
ーーあいつは、自分の体がいまどんな状況なんか、わかってるんか。
あいつの妊娠は、隠されてる。
しかも本城にバレたら、何持ちかけられるかわからんのやで。
「参ったな…」
赤羽ん家を誰にも見つからず抜かれたんは、母さんの協力と、あいつの変装技術のおかげや。
しかもあいつ、特殊メイクとか最近マスターしとったで。
これは厄介や。
「どうかしたのか?」
「いや、大丈夫や。話の続きしよか」
電話を切り、話し合いに戻る。
ここを早く抜けたいが、俺が今がいま動くと怪しまれる。
セーヤ、はよ、見つけたれ…。