エージェント
駅まではタクシーで行く。
タクシー乗り場で母さんと待つ。
「なんか、あっちの方、騒がしくなってきたわね」
母さんか人だかりの、特に女子の人だかりの方に目を向ける。
声がこっちまで聞こえる。
「あ、タクシーきたよ」
母さんが呟いたの言葉に反応しないほど、その集団に耳を傾けていた。
"サクラさん"
ーーーあの中に、朔羅がいる。
「……元気なんだね」
それだけでもいい。
彼が元気なら、それでいい。
母さんに続いてタクシーに乗り込むと、そのまま駅に。
そこにはかなり焦ったセーヤがいた。
「もう、心配かけさせんといて下さいっ!」
「ごめんね、セーヤ君」
母さんがセーヤをなだめていたけど、さすがにセーヤも母さんには頭が上がらない。