エージェント
嫌な予感しかしない。
「ちょっと、顔かして」
そう言われて連れていかれたのは、女子トイレなわけで。
ありきたりだな、なんて切羽詰まった状況とは裏腹に落ち着いている。
これでも女子校育ちなだけあって、女の嫉妬僻み…は、嫌でも知っている。
関わると面倒だから、厄介ごとには首を突っ込まずに避け続けていたけれど。
だからこうして女子達に呼び出されることもなければ、囲まれることもなかった訳でーー
「アンタ、転校生の癖に、サクラくんと仲良くしてんじゃないわよ」
アイツが原因なのも、わかりきってた。
ーーいや、仲良くしてねぇよ
なんて、大人気ないことは言わない。
一応学年は彼女達が上だけど、わたしの方が大人だからね。