幕末異聞
「土方さ〜ん!起きてください!!朝ですよ〜」
襖の陰からひょこっと現れた沖田総司はこんもり半円を描いた掛け布団を思いっきり引き剥がした。
「……お前に起こされなくても起きてるってんだよ」
「もぅ、そんなに睨まないで下さいよ!人がせっかく毎日わざわざ起こしに来てあげてるっていうのに」
朝からよく喋る沖田を土方はクマのできた目で睨んでいた。
朝の土方は低血圧のため機嫌が最高に悪い。
そのため、普通の隊士達は朝の土方を恐れて彼の部屋には絶対に近づかないのだ。
しかし沖田は違う。
この青年は信じられないことに、土方が不機嫌なところをからかって楽しむというなんとも奇妙な趣味を持っている。
「む…?総司、お前…道着なんか着てどうした?」
土方は目をこすりながら沖田の格好を上から下までまじまじと見た。
紺色の道着を身につけ、髪を頭の高い位置でしっかり結っている。