放課後sugary time

今日の晩御飯は余り物で適当に済ませようかな……。



通い慣れたアパートまでの道を冷蔵庫の中身を思い出しながら歩くのが日課になっていた。


この生活で唯一変化があったのが料理のレパートリーが増えたこと。


ただこの間、地元から遊びに来た友達にご馳走したら、食べさせる相手は居ないのかって茶化されたけど……。


それから何となく料理をするのも虚しく感じられてしまって、最近は簡単なモノばかりで済ませてしまっている。



……なんかますますつまらない人生になってる気がする。


「……よし」


今日はいつもと違うスーパーまで足を運んでみよ。



思い付いた小さな気晴らしを実行しようと、人通りの多い駅前にやって来た時だった。



「さっきの金はなんだ? 斎木」


「だーかーらー貸してたお金だってば」



厳しい表情をした中年の男性と濃紺の学ラン姿の男の子が言い争う声が耳に留まった。


斎木くんと呼ばれた学ランの彼は派手な茶髪にピアスがキラキラと光る如何にも……な出で立ち。

あの制服は進学校で有名な近所の高校の生徒で、一緒に居る男性は恐らく教師。


もしかしなくても見回りで捕まったんだと思う。
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