放課後sugary time
退屈で虚しい毎日に無理矢理心を支配させ、わたしにはこんな生き方しか出来ないって諦める。
こんな気持ちを受け入れるのは楽で簡単でわたしにはお似合いだった。
だからもう、間違えないって……思ってたのに。
次の日の授業の準備を整えて、正職員の教師に残業を押しつけられる前に学校の門を出る。
朝からどんよりとしていた曇天が、堪えきれなくなったようにしとしと小雨を降らせ始めた。
カバンにいつも入れていた折りたたみ傘のおかげでほとんど濡れることなくアパートまで辿り着いたわたしを、
「愛衣ちゃん」
「……っ」
後ろから呼ぶ声。
諦めを受け入れたはずのわたしの心が騒ぎ出す。
ゆっくりと振り返った先に居るのは、派手な茶髪から雨粒を滴らせて薄く笑う威千都だった。