『月の唄』
月の唄
ピンクのカエルは月の光で紫色へと姿を変える。
ピンクのカエルは私につぶやく。
『君と僕は同じだね・・・』
私はピンクのカエル・・・
紫の池に浮かぶ一匹のカエル・・・なの?
私は辺りを見回す、私の周りにだけ存在する池・・・。
池の水は確かに紫色をしているが、何かが変・・・。
なんだろう?この水・・・生温くてヌルッとしてる。
池はどんどん大きくなっていく・・・私を中心に!?
私はピンクのカエルを見つめる。
ピンクのカエルは何も言わない。
ただ私を見つめながらニヤッと笑みを浮かべるだけ・・・。
何?何で笑ってるの?何で何も言ってくれないの?何で笑ってるのに泣いてるの・・・泣いてる!?
頭が痛い!
 
 
 
その瞬間雲が月を隠し、目の前が真っ暗になる。
雲はまるで芝居の場面を替える暗転のように再び私達を照らす。
月の光が徐々にピンクのカエルを照らすと、目の前のピンクのカエルは消えており、緑のカエルがこちらを見ていた。
『ナカナイデ。』
その瞬間私は胸に熱い鼓動を感じた・・・痛いっ!
私の周りの池は真っ赤に染まり、池の水は私の胸から溢れてくる・・・痛いっ!痛いっ!痛いっ!これ・・・私の血?
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