『月の唄』
痛いっ!痛いっ!・・・でも何とかしなきゃ。
私は必死に流れる血を止めようとするが、止まる気配が無い。
傷口を押さえても、押さえても、どんどん流れる。
気付けば血の池はどんどん大きくなっており、もう池ではなく、湖か海と呼べるかもしれない。
痛いし、苦しいし、熱い・・・私死んじゃうのかな?
これだけ大量の血が流れてるんだもん・・・死んじゃうよね?
 
 
 
緑のカエル・・・私の血の中で泳いでる・・・。
 
のんきなカエル・・・唄なんて歌っちゃって・・・
 
でもこの唄好き・・・
 
心が落ち着く・・・
 
なんて唄なんだろう・・・
 
『ツキノウタ・・・』

月の唄か・・・きれいだな・・・
なぜだろう?
痛いから?たくさん血が流れてるから?
違う・・・ほんとなぜなんだろう。
 
涙が出た。
頬を伝い、一粒の涙が血の海に落ちた。
 
 
 
????????????私が目を覚ますと、そこは見慣れた天井に見慣れた壁紙に見慣れた部屋の景色。
夢か・・・夢だったんだ。良かった・・・
私は枕元の冷たい感触で自分が泣いている事に気付いた。
夢を見て泣くなんてどうかしてる・・・。
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