バレンタインシンデレラ
廊下に出た冬月くんと槙くん。
槙くんはポケットからボールペンを取り出す。
「南加恋、なし」
「ちょ、待って」
加恋の名前の上に線を引こうとした槙くんを冬月くんは止める。
「え?なんで?」
「とりあえず」
「でもさあ、ゆっきーには間違えてチョコあげちゃったって言ってたじゃん、あの子」
「そうだなあ」
「しかも他の子と違って“きゃあ冬月くん!”とか“冬月くんかっこいい!”とかってならなかったじゃん」
槙くんは声を裏返して女の子達のモノマネをした。
「むしろ困ってたけど。それでもキープ?」
「他の子と違う」
「そ。だから消すよ」
「待て!」
冬月くんは犬にするように手のひらを突き出す。
槙くんはペンを握った手をピタッと止める。
「キープする」
それから冬月くんはスタスタと歩き出し、槙くんは少し駆け足になってからその隣に並んだ。
「はーん、ゆっきーはああいう子がタイプなんだ!ほわ~んとした大人しい感じの子が。へ~そうなんだぁ、へ~」
「うるさい。次行こ、次」
「へいへい」
槙くんはポケットからボールペンを取り出す。
「南加恋、なし」
「ちょ、待って」
加恋の名前の上に線を引こうとした槙くんを冬月くんは止める。
「え?なんで?」
「とりあえず」
「でもさあ、ゆっきーには間違えてチョコあげちゃったって言ってたじゃん、あの子」
「そうだなあ」
「しかも他の子と違って“きゃあ冬月くん!”とか“冬月くんかっこいい!”とかってならなかったじゃん」
槙くんは声を裏返して女の子達のモノマネをした。
「むしろ困ってたけど。それでもキープ?」
「他の子と違う」
「そ。だから消すよ」
「待て!」
冬月くんは犬にするように手のひらを突き出す。
槙くんはペンを握った手をピタッと止める。
「キープする」
それから冬月くんはスタスタと歩き出し、槙くんは少し駆け足になってからその隣に並んだ。
「はーん、ゆっきーはああいう子がタイプなんだ!ほわ~んとした大人しい感じの子が。へ~そうなんだぁ、へ~」
「うるさい。次行こ、次」
「へいへい」