愛しい人へ
俺より梨絵のほうが大量に食べた。
「ああー美味しかった!」
店を出ると、満足そうな梨絵。
だけど、ちゃんと自分のほうが食べたことを自覚しているらしく、
梨絵のほうが多く払った。
俺が出すからいいといっても、
断固としてゆずらなかった。
レジが混んでしまいそうだったので
しかたなく梨絵のいうとおりにした。
夜風が気持ちよくて、
俺と梨絵は店の後ろに流れている河原に行った。
梨絵は夜の川に石を投げながら言った。
「あたしねー」
「うん」
「好きな人いるんだー!」
お・・・。俺はタケと雅人の言葉を思い出した。
まさか・・・??
「中学のときの人だけど」
なーんだ。俺じゃないじゃん。
よかった。
告白されたりしたら、こうやって
飯も食べにこれなくなる。
俺は単純にそう思った。
「へぇー。中学の人なんだ。」俺は頷いた。