ディア フレンド
「紗羅? 大丈夫?顔色悪いけど・・・」


「えっ?大丈夫!理科の単元今日返って来るから心配でさ。」

「そっか・・3時間目だっけ?」


「うん、だって賭けが掛かってるんだもん。」

そっか。紗羅と賭けをしてたんだっけ・・・
アタシ好きな人いないからなぁ・・答えようがないんだよねぇ―。
紗羅はなんか無理して笑ってる気がする。
なんか悩みでも抱えてんのかな・・でも、個人の問題だったらしょうがないよね・・
相談してくれるまで待とう・・

紗羅は尚も暗い顔で俯いている。
こっち的にはいつも笑ってる人が急に暗いと調子が狂うんだよね・・

アタシたちは嘉応学園恒例の長い坂を上り、玄関まで着いていた。
この学校は来た当初から思っていたけれど坂がきつ過ぎる。
まぁ、運動部はここで練習出来るからいいんだろうけど。

階段を上って教室に入る。アタシたち全員が同じクラスなことに奇跡だよね・・

「杏南、今日はスパゲティがいいんだけど・・」


「もう夕食の話? 気が早すぎだよ・・」

「そう? ちゃちゃっと決めたほうよくね?しかも買い物しないといけねえだろ?」


「そうだけど・・学校の帰りに寄ってこうかな。」

アタシは渉と夕食について話す。紗羅は机に顔を伏せ、黙っている。
なんか、あったのかな・・今日の紗羅はいつもと違うな・・・




紗羅side

はぁ・・なんか今日は2人の仲を見せ付けられた気がする。
うちが入る幕ないのかなぁ・・

うちは渉くんのことが好き。中学入ったときからずっと好きだった。
見た目は悪そうだけど中身は優しくて人懐っこい。
でも、渉くんは伶哉くんと並んでかなりモテる。
好きな人は凄く多い。しかも、杏南と幼馴染み。


杏南は渉くんのこと好きなのかな・・・

渉くんは多分杏南のことが好き。好きな人のことは何と無く分かる。
でも―、うちは3年間コくったことはない。
杏南が来る少し前に、決心した。でも、2人で学校に来てたとき、
躊躇してしまった。それもそう、
あんなに仲のいいとこを見せられて無理だもん。
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