君の影をみてる〜幼なじみの恋〜
「…6時頃」

「それって、あたしが最後にメール送った時間じゃん!きょーちゃん、まさかソレを見ようとして」

「違うって!ケータイはポケットに入ったままで」

「受信に気をとられて」

「みっこ!!」

「…」

「バイクに乗ってたんだぞ。…着信には気が付いてなかっただろうって、警察が…」

「…それ、ホント?」

大きくうなずく隆志は

「わかるよ。俺もそうだ…貸した原チャが、どっか…故障してたんじゃ…って」

私をかばいながら、
不安だったに違いない隆志自身も、
とうとう気持ちを隠しきれなくなり…

私は今まで、
こんな隆志を、見たことがあっただろうか?


心のどこかで、
事故の原因と自分を、切り離せずにいる、
隆志と私は同類だ。

そんな隆志の存在は、どんなに心強かったか。


もちろん、事故の原因は判明していた。

トラックがカーブに入るとき、大きく膨らみすぎ、

恭一の運転するスクーターは、見えていたのか、いなかったのか、

すっかり巻き込まれトラックの下敷きに…


信じたくないが、これは現実で…

悲しみと悔しさと、後悔と…何とも言えない感情が、入り乱れた状態で、

ただただ、涙となってあふれでてくるのだった。


点滴でもっているはずの体から、
よくも、こんなにと言うくらい、あふれ出る涙。

涙腺は緩みっぱなしで、
何も考えていなくても涙がこぼれてくる。
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