アンダンティーノ ―恋する旋律 (短編)
「電話番号!

 ねえ、ショウコさんの電話番号覚えて
 いない?

 メアドでもいいよ」

「そうか!」

 悲しそうだったテツロウの表情が、
たちまち輝き出す。

 それがあまりにもうれしそうで、見て
見ているユマまで笑顔になった。

 テツロウはショウコの携帯の番号も、
メールアドレスも覚えていた。

 しかし試してみると、どちらも通じ
なかった。

 すでに使われていなかったのだ。

 いつの間にか日は落ちて、暗くなり
始めていた。

 がっかりして肩を落としたテツロウ
は、そのまま夕闇に溶けこんでしまい
そうなほど弱々しく見える。

「もう無理だよ」

「何言ってるの?」

「こんなことに巻き込んでしまって
ごめ――」

「まだ謝らないで!」
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