アンダンティーノ ―恋する旋律 (短編)
 テツロウの瞳が再びうるみ始める。

 深々と頭を下げる彼を制して、
ユマは言った。

「お礼は後でゆっくり聞くから。

 ね、できるだけのことはして
 みようよ」

 ショウコの友人、昔の勤め先――まだ
彼女の行方を訊く相手はたくさんいる
はずだ。

 ユマとテツロウは軽くうなずき合い、
並んで歩き始めた。
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