アンダンティーノ ―恋する旋律 (短編)
「よけいなお世話!」と言いかけて、
ユマは思い直した。

 テツロウはらちの明かない捜索に
疲れたのだ。

 きっと別のことで気をまぎらわし
たいのだろう。

「あなたに……すごく似てる」

 テツロウが驚いたように目を
見開いた。

「だから手伝う気になったの」

「そ、そうなんだ」

「ハルキさんっていって、ママ
 の友達の息子さんなの。

 理学部の四年生で、数学を教えて
 もらってる。

 本当に似てるよ。

 彼はあなたみたいに泣き虫じゃない
 けどね」

「……ふうん」

 一瞬おもしろくなさそうな顔をした
後、テツロウはまた微笑んだ。

「告白……した?」

「ま、まだよ!」

「あ、もしかして今日買ったチケット
 って、その人と」

「ちょ、ちょっと!」
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