アンダンティーノ ―恋する旋律 (短編)
 あなたが好きです、ショウコさん

 ――これほどまっすぐな気持ちが
ショウコに伝わらなかったはずがある
だろうか? 

 こんな青年に愛されて、好きにならず
にいられるだろうか?

「あっ!」

 いきなりユマはあることを思いついた。

 興奮のあまり、ベンチを蹴るように
して立ち上がる。

「待って、ねえ、待って!」

「な、何? どうしたの」

「メール、もう一度うってみようよ」

「だけどさっき――」

 あっけにとられているテツロウを
無視して、ユマは猛烈な速度で携帯の
ボタンを押し始めた。
< 25 / 34 >

この作品をシェア

pagetop