アンダンティーノ ―恋する旋律 (短編)
告白
 待ち合わせ場所の公園にショウコが
現れた時は、もう十一時近かった。

「メールをくださったのは……あなた?」

 噴水の側で待っていたユマを見つけ、
ショウコはひどく驚いたようだった。

 無理もない。

 彼女宛てに贈ったメールには、テツロウ
の名前で「もう一度『愛の挨拶』を聴いて
ください」と書いたのだから。

 ユマみたいな女の子が待っているとは
思ってもいなかったはずだ。

 ゆるくウェーブのかかった長い髪、
笑ったらどんなにきれいだろうと思う
ような優しい目鼻立ち。

 テツロウが好きになっても全然
おかしくない。

 現にテツロウは今、ユマの隣で息を
することさえ忘れて(死んでいるから
もともと呼吸はしないだろうけれど)
ショウコを見つめている。 

「わ、私、石原由真といいます。

 高校生です」

「石原さん?」
< 26 / 34 >

この作品をシェア

pagetop