僕が僕でなくなる前に。
延々と続く自然の中。

僕の住む場所は、人里から少し離れた場所にある。

元々は集落に住んでいたけれど、1年前から此処にいる。

別に犬猿の仲だから他の人と離れて住んでいる訳ではない。

その理由は至って単純な物。丁度1年前、雷雨の翌日の事。

誰かに呼ばれた気がして僕は竹やぶの中へと入って行く。

ぬかるんだ土で足を泥だらけにしながらさまよった先にいたのが、

見た事もない黒い異国の服をまとった君だった。

例えるならば何かの本で見た事がある、人形のよう。
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