牢獄の姫君
彼女は言った。
「王子の愛におこたえすることはできません」
と。
でも彼女は私につくしてくれた。
一年後、私が結婚すると
彼女は潔く身を引いた。
彼女は元通り誰にでも優しく笑いかけていた。
私は嫉妬もした。
でも、私の結婚からまもないころ─…
彼女の妊娠がわかった。
彼女はその子を生んでから
すぐに病気になって死んだ。
子供が生まれてから私と彼女の関係が知れ─…
彼女の子供は一人で苦しませることになった─…
わたしのあやまちで…
でも彼女は私に二通遺書を残していた。