はちみつに願い事




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21時、ちょっと前。

そろそろあいが帰ってくる時間だ。

もう外はもちろん暗い。

近くの自販機に、飲み物を買いにいくついでに、あいのことを待っていた。


「…さむ…」

今夜もよく冷え込む。

11月も半ばすぎたので、寒さも本格的になってきた。

ポッケに手を入れ、ひたすら待っていた。









「…健留?」

名前を呼ばれた気がして、顔を上げた。

「…あい、おかえり」

「…びっくりした。何してるの」

驚いた表情のまま、近づいてくる。

「飲み物、買おうと思ってさ。カフェオレは、家にないから」

お金を入れて、暖かいカフェオレを選ぶ。

がたん、と落ちてきたカフェオレを取って、包み込む。


「あったけ~」

お金を多めに入れたので、まだランプは光っている。

だから暖かいココアを押した。

落ちてきたココアを、あいに渡す。



「やるよ。仕事帰りのご褒美」

「…え、いいの?ありがと…」

言いかけて、口をつぐんだ。

ココアを渡すとき、指先が触れたから。

健留の手の冷たさに、驚いたから。



「…健留、ずっとここにいたの?」

「そんな長くは、いなかったけど」

「もしかして、待っててくれた?」

「あと5分して来なかったら、帰ろうと思ってたよ」

「‥‥‥」

「‥‥‥」

「…ありがとう」

小さく、あいが笑った。





「…ん、帰るか」

「うん」











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