Time is gone
「どうだ、いい女が揃っている店だろ?」
店を出た瞬間、部長は切り出した。
「はい。歌舞伎町とは大違いです」
俺はそう言うと、部長は大きな笑い声を上げた。
「そりゃそうだ。新宿と六本木じゃ、ドバイと北朝鮮くらい違うさ。お前、あの梨花とかいう女をえらく気にいっていたな」
俺は頬が赤くなるのが分かった。照れではない、自分の分かり易さを恥じていたのだ。
「トップ営業マンの力で落としてみろ」
「いえ、そんな気はまったくありません。いくらこういう店に慣れてなくとも、あれも営業だってことは、分かっております」
一時間余りの間に見聞きしたあの笑顔も、片思いの異性に猛アピールするような健気さも、全ては夢。金のための疑似恋愛。分かっていてもそれは酷く虚しく、秋風が心の隙間を吹き抜けた。そんな疑似恋愛をその場だけ楽しめるほど、俺は大人ではない。
店を出た瞬間、部長は切り出した。
「はい。歌舞伎町とは大違いです」
俺はそう言うと、部長は大きな笑い声を上げた。
「そりゃそうだ。新宿と六本木じゃ、ドバイと北朝鮮くらい違うさ。お前、あの梨花とかいう女をえらく気にいっていたな」
俺は頬が赤くなるのが分かった。照れではない、自分の分かり易さを恥じていたのだ。
「トップ営業マンの力で落としてみろ」
「いえ、そんな気はまったくありません。いくらこういう店に慣れてなくとも、あれも営業だってことは、分かっております」
一時間余りの間に見聞きしたあの笑顔も、片思いの異性に猛アピールするような健気さも、全ては夢。金のための疑似恋愛。分かっていてもそれは酷く虚しく、秋風が心の隙間を吹き抜けた。そんな疑似恋愛をその場だけ楽しめるほど、俺は大人ではない。