Time is gone
 一瞬の出来事。だがそれは、俺の一生を狂わせた。
「何しやがんだこのアマ! あの時計が、あの時計がどれだけ大切なものか分かってんのか!」
 猛獣のような雄叫びに、雪菜は身を凍らせた。
「あの時計があったからここまで来れたんだ。あの時計があればこれからもずっと上手くいくんだ。あの時計がなかったらダメだ。ダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだ……それをお前は。それをお前は!」
 俺は呪いのように繰り返し呟いた。
 そんな異常な姿を見た雪菜は、ごめんなさい、そう呟いたが、その声が届くことはなかった。
 俺の未来を奪ったその罪は、死をもって償え。
 俺は全身の力を両腕に込め、そして思い切り突き出した。それはスローモーションのように、雪菜に迫った。
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