くじら
「……」
「お庭きれいですね…。先生」
縁側に座り、先生は月を眺めていた
「落ち着きました?少しは、」
「はい…。だいぶ落ち着きました。取り乱してすいません、」
「いえいえ…、すいません。昴が…」
―最初からそう思っていた。
髪が風になびいた
「……昴さんは本当に先生の身内の方ですか?」
「身内ですよ。残念ながら、」
笑いながら 先生は言う。
「…全然似てないですね。甥なのに…、なんていうか……、雰囲気が違う…」
「…違うか。そうですね…、」